このたび日陰の物置は移転します。
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今後ともお付き合いいただければ幸いです
閃光。閃光に次ぐ閃光。
光の向こうを、黒い影が疾駆する。
二本の脚で確かに地を踏みしめ、左右対に伸びる腕に、鋸のような歪な太刀と、ライフルによく似た何かを携えたその姿は、紛うことなく人の姿。否。禍々しい漆黒の鎧に身を包み、黒い軌跡を襤褸切れのように振り乱すそれは、死神というに等しいだろう。
アクゼリュス。またの名をA1級。…
「生きてる……のか?」
衝撃に備えて身を屈め、命の花火の導火線に指をかけていた王が、反射的に瞑った目を開きながら言った最初の言葉だ。
爆音も、鈍い震動もあれど、身体には寸分の傷も入っていない。いや、確かに震動はあったが、爆発の衝撃というにはまだ生温かったか――?
「すいませんね。格納庫の入り口開いてたんで勝手に出撃しま…
「3番の壊滅確認。ついで5番7番からの通信途絶」
悲鳴のように響く銃撃音。絶え間ない、草木や岩、自然の城壁を蹂躙する行軍音。
断頭台にかけられた罪人を、情けという名目で甚振る執行人のようにゆっくり、わかるようにわざわざ騒がしくしながら、確かに絶望は近づいてきていた。
「1番2番、6番8番をそれぞれ下げて対応。応答のない…
纏わりつく硝煙の血風。響く怒号と、劈く銃声。
合間を縫うように、不安を誘う静寂が一瞬挟まる。
戦場という場所は、激しくもまた不気味な静けさを持った場所だった。
「後退だ後退! 走れ走れ!」
肩に巨大な機関銃を担ぎ、ボロボロの戦闘服で身を包んだ兵士達が駆け抜ける。
足取りは驚くほど速い。まるで子供が自宅の庭を駆…
遠くで轟音が響いたかと思うと、鈍い揺れが並んだチェスの駒を揺らした。
こういうときにマグネット式のものは便利だなと思うが、どう見ても劣勢である東堂にしてみれば、今の揺れでノーゲームになってほしかったところだ。
「何の音だ?」
「いつもの定時攻撃さ。定時ってわけじゃねーけど、毎度毎度ご苦労なこったろ?」
駒を動かしな…
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一瞬のような永遠の、甘い口づけが終わる。
薄い、半透明の糸が橋となって一瞬だけ2人を結び、消える。
頭上に上がった巨大なハートマークが、示し合わせたように弾け、欠片が小さなハートとなって降り注いだ。
遅れて咲いた桜の花びらが舞い、その中で2人、観衆へ向き直って腕を組めば、あまりに突拍子な演出で、声を上げ、腹を…