Stage04-01

「便りがないのは良い便りといいますが……」 「一週間はとうに過ぎたのう。もうすぐ二週間に突入じゃ」  静かなブリッジで女性が二人、自分たちの持ち場へゆったりとした姿勢で座りながら呟いた。  その姿とは裏腹に、呟かれた言葉には僅かながらの心配の色が滲んでいる。味方とともに居るとはいえ、敵陣の深い場所まで入り込んでいるのだから当然…

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Stage03-08

「あらー。流石初めての実戦なだけあるわ」 「ずいぶん派手にやったわねー。何で生きてんの?」 「お前ら……」  噛み砕かれ、殴り飛ばされ、装甲板が擦り切れたようにボロボロで悲惨な状態になった自分の搭乗したSaviorを目の前にして、翔は自分の力不足をしみじみと感じていた。  自分の手足同然に操縦することができるSaviorとい…

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Stage03-07

「ああもう! あんまり揺らさないで!」 「煩いな、こんな足場の悪いところで揺らすなってほうが無理だろう!」  ギャーギャーと、Saviorの中では珍しい複座の機体に搭乗した2人、創とシャルロットが騒ぎ立てる。  かれこれ10分、いや、20分は続いているだろうか。時間間隔すらおぼろげになるほど、隙間なく騒いでいた。  機体の中…

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Stage04 Nuclear but,Noclear

†Stage04 Nuclear but,Noclear† ▼今回予告  祖国の英雄。  軍の命令を無視し、地獄と化した大地で殿を勤めた彼らがそう言われる理由は2つ。人を守ったからだけではない。  ユーラシア大陸を文字通り死の大地と化すだけの核を、逃げる時間を稼ぐためなどに使わせなかった。  それが彼ら最大の功績であり…

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Stage03-06

 快晴。湿度16%。北北西からの微風が毎時およそ8マイル。  スモークの煙が風に流されて薄くかかる以外、何の支障もない。これならばシミュレータで自動設定される状況下でやるのと大差はないというものだ。  狙撃砲に装備された高解消度のカメラが捉えた映像越し、小指の爪ほどに小さく揺れる対象に無言で問いかける。  アナタは次の瞬間、ど…

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Stage03-05

 江西省地下要塞。  そこはユーラシア大陸本土からの撤退を決めた、国連軍上層部の意向を無視し、敵の懐へ立て篭もって戦い続けるという修羅の道を選んだ者の築き上げた、現代に生まれし城のひとつだ。  概観は対光線を想定してか、地上部分はなだらかな丘であり、その下に埋もれている鋭い牙の存在などまるで露見させないような印象を与える。  これ…

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秘宝館・雅戌様からの御依頼品

/*/  灰色の空。荒廃した土地には、夢を見た人間たちの陽気な音楽か、夢を見ていた人間たちの沈痛な静寂が流れているものだ。  この国の場合は、それが後者だったらしい。何人もの人間たちが、ポリタンクいっぱいに注がれた清涼な水を両手に持ち、自分たちの住まうテントへの帰路についている。  その表情には、総じて笑顔はない。険しく、皺の…

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